Contents
ディベートは、ビジネスの場面で、交渉や打ち合わせの場で役立つことはなんとなく皆さん認識しているのではないでしょうか?
ディベートの概要と、なぜ生産性を上げるのかについて説明します。
ディベート(討論)とは?
ディベート(討論)とは、一つの命題に対して、肯定側と否定側に分かれて、議論し第三者を説得することを言います。
誤ったイメージとして、強い口調で早口で喧嘩のように議論している絵が浮かびますが、この技術は、話す技術というよりは、考え方の技術です。
レトリックや詭弁のように、相手を言い負かすような技術ではありません。
よって、説得やスピーチとも異なります。
ディベートで、前提とする考え方
ディベートが目的としているのは、「最適な答えを最短で導き出す」ということです。その答えが、第三者にとって納得感を持たせることに意味があります。
勘違いしやすいのは、自分の主張を押し他方が勝ちのような考え方ではありません。あくまで主張を通した方の論理にも妥当性がなければ意味がないのです。
根本的な考え方として、この世に100%正しいという主張は無いということを理解しなければいけません。この根拠は、不完全性理論が証明しており、どんな理論にも、矛盾点が内在するそうです。
ディベートの基本論法「トゥールミンロジック」
ディベートの細かい技術については、専門書などに委ねますが、簡単に論法を紹介しておきましょう。
意見を述べる上で、3つ用意します。
クレーム、データ、ワラントです。カタカナで覚えにくいですが、概念を覚えておけばOKです。
クレーム:命題をどのように肯定するのか(反対するのか)という主張。
データ:クレームを支えために必要な事実に基づいたデータ。
ワラント:クレームに対する、データの有効性を説明する論理。
ここでもっとも大事なのは、ワラントです。
例えば、「暑くなるとアイスが売れる」という主張(クレーム)に対して、気温の推移と相関してアイスの売上が上がっているデータがあったとします。
「気温が急に高くなった週とアイスの売上が急に伸びた週が一致しています。」と説明(ワラント)をすれば、主張は成り立ちます。
このワラントが強固かどうかで、主張の強さが決まります。逆に言えば、反論側は、ワラントを崩せばいいということですね。
議題を、「抽象化」して複数意見を同時に扱う
例えば、「東京都」「港区」「六本木」では、もっとも抽象度が高いのは、「東京都」です。逆に具体度が高いのが「六本木」です。
もし、議論が、「六本木」「赤坂」「新橋」についてそれぞれ進めても『「六本木」と「新橋」はこうだけど、「赤坂」はちょっと違うかも。』といった流れになることがしばしばあります。
しかし、『「六本木」「赤坂」「新橋」は「港区」であり、「港区」ってこうだよね。』とぐっと視点を高くして、それぞれの共通点で括ってあげることで、1回の議論で済ませることができます。
「抽象化」して議論を見つめることは、ディベートの中でも大事なスキルです。
ディベートの説明はこの辺にして、なぜ効率化できるかについて話します。
なぜ効率化できるのか?
ざっくり言うと、議論における意思決定コストを下げられます。
相手に納得してもらえる
ディベートは論理的な脳を作るトレーニングとして適しています。
感情に流されることなく、客観的に証拠に基づいた主張をするので、相手も納得しやすいのです。
議論を収束させる
不要な議論を避けることができます。
相手の間違った根拠(ワラント)に気づけるようになり、不確かな案をフィルターにかけることができます。
また、会議中に細かい末端の議論になった際に、「抽象化」して考えることが有効となります。細かい議論に、ひとつひとつ付き合っていると時間が足りません。
「抽象化」「俯瞰」して細かい議論をまとめて取り扱うことで、簡単に結論づけることができます。
最善の方法に辿り着く
仕組み上、肯定と反対が存在しさらに審判(第三者)と言う3つの視点を持ちながら、主張の確かさを説明して議論を進めるため、抜け漏れを無くし、最適な答えが導き出されます。
これは一人でも3つの視点を意識して考察することで、より妥当性の高い意思決定ができるようになります。
これまで、なんとなくで考えを止めていた事柄でも、解決の糸口が見つかるかもしれません。
まとめ
ディートは、強めの口調で討論しているイメージが先行しがちですが、論理的に話を進める技術であることがわかりました。
前提として、「100%正しい主張はなく、いかに最もらしい根拠をつけて主張するか」という考え方を知れただけでも、今後の意識が大きく変わったと思います。
今回は、
苫米地 英人「ディベートで超論理思考を手に入れる 超人脳の作り方」を参照しています。