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「レトリック(修辞法)」「詭弁」をご存知ですか?
簡単に意味の説明するとこんな感じです。
「レトリック」は、巧みな言い回し。
「詭弁」は、相手を言いくるめるための論法。
その手法やロジックを知らないと、相手のいいように話が運び、
不利な契約や約束をしていまい、時間を無駄にします。
社会には意図的に巧みに使っている方がいますし、
この論法を知らずとも、ナチュラルにやっている人もいます。
最初の論点から、いつの間にか話がずれていたことありませんか?
YES/NOのはずが、答えることができないということがありませんか?
今回は「レトリックと詭弁」香西秀信 著を参考として、身を守るための対策について説明しましょう。
レトリックと詭弁の特徴を知り、煙に撒いたような危ない罠に気づけるようになり、質問力をつけ、話の軌道修正をできるようになりましょう。
問いは最強の弁論。
問いは、議論の場においては、積極的な意味を持ちます。
日常会話での問いは、情報収集するための質問です。
議論においては、主張、強調、誘導などの役割を持っています。
議論において、立証責任(主張を説明し有効性を示す義務)を負うことは、不利にはたらし、相手に攻撃の隙を与えてしまいます。
ゆえに、レトリックと詭弁による虚偽を見抜いて、問いを出す者が有利に議論を進めることができるのです。
身を守るために、知っておきたい詭弁の手口
論点のすり換え
論点のすり替えがどのように起こるかを
- ・具体的な話を、抽象化して主張する
- ・段階的な評価のある話を、二極化して問いかける
- ホットドック1つで寝ることがだめで、100万円の結婚指輪を渡されて寝るのはいいのか?
- ・限定された範囲から外して、主張を当てはめ正当性を問う
思わず相手の術中にはまる「不当予断の問い」
前提に主張が入っており、いつの間にか合意させられる
「Aさんのあのつまらないブログ見た?」
ときかれたら、どう答えますか?
「読みました」「読んでいません」のようなYES/NOで答えさせ、前提に置いた「つまらない」を知らぬ間に合意させようとしています。しかし、この質問で本当に危険なのは、ここではありません。質問の違和感がわかりやすいため、簡単に反論できてしまうところにあります。
もし、Aさんがあなたの友人でブログが素晴らしいと思っていたとして、自ら論点を変えて「あのブログは素晴らしいと思います」と自分の主張をしてしまうと、自ら立証責任を買い取っていまいかねません。
さらに、立場としては、Aさんのブログがつまらなくない理由を説明しなければならず守る側になります。
議論においては、揚げ足をとってくる攻める側よりも、理由を説明する守る側の方がはるかに不利なのです。
この場合、回答や反論せず、立証責任を負わないように話をはぐらかすことが無難でしょう。
出された問いをいかに答えないかを考える
問いの打ち破り方について説明します。
詭弁を見破り、指摘することで、打ち破ることができます。
詭弁にも色々な手法がありますが、基本は「いかに問に答えずにすませるか」です。言い換えると、「いかに相手が仕向けた方向に進まないように言い返すか」です。
「答える」ということは、相手の用意した選択肢を選んで答えるということです。
「言い返す」とは、自分が意図する方向に誘導するということです。
例えば、
学校の試験中に、教師が、生徒のカンニングに気づき、指摘したとします。
生徒は開き直って、こう言ってきたとします。
「他にやっている人がいる。要領よくやっている人が得をして、たまたま見つかったものが損をするのですか?」
教師としては、なんと答えたらいいでしょうか?
生徒の発言には、虚偽があります。
一度、状況を俯瞰してみて、前提を整理すると、
「カンニングをして試験を受けている生徒」「カンニングをせずに試験を受けている生徒」がいます。
発言した生徒は「カンニングをして試験を受けている生徒」の中の、「見つかってない生徒」と「見つかった生徒」を対比にしているので、「見つかった生徒」が損をしているように見えますが、そもそも要領よくやっているし、ペナルティを受けるのも当然です。
よって、教師は次のような答えが望ましい。「カンニングをして、労をせずに好成績を得ようとしていることを『要領よく得している』というのだ。君は、そうしようとして、たまたま失敗しただけだ。」
というように、俯瞰した視点で、前提のズレを指摘し、議論を展開する。
相手が提示した、虚偽の前提で議論すると不利になります。
まとめ
交渉の場では特に気をつけなければいけません。
意図的に仕掛けてくる人、何もわからずに詭弁を使ってしまう人が結構います。
身を守るためには、前提や質問の意図を汲み取れるように日々鍛えるしかありません。
詭弁の仕組みを理解しておくと、気づきやすくなるでしょう。
守るための要点メモ
- 質問の意図に気づく
- 一つの質問に課題がいくつ内在しているかを分解できるようになる
- 立証責任を負わない
- 「答える」のではなく、「言い返す」(相手の虚偽を指摘する)
- 自分の主張が成立する条件を限定しておく
うまく問いが使えるようになると、相手の虚偽を見抜き、「虚偽を認めざるを得ない二者択一の問い」で、相手に追い討ちをかけることができます。
本書に書かれている「西行と崇徳上皇」のやりとりは痛快でした。